このネットが発達し、すぐに欲しい情報が手に入る今。
安宿に必ずといっていいほどあったNotice Board、掲示板は残っているのだろうか。
張ってあるものといえば、宿へのお礼の手紙やいつのものか確かめようのない情報。
ここに来たのであろう旅人の自作の名刺や、宿で滞在中に撮られた写真など。
そして宿と提携しているのかしていないのか、よくわからないツアーの情報。
この宿にももちろん、レセプションという名の机の横に掲げられていた。
部屋を確認し、宿代の交渉もすることなくパスポートを出したところで目に入ってくる。
Bahariya Oasis 2day / 1night Tour
4 Pax : xx E£
5 Pax : xx E£
6 Pax : xx E£
7 Pax : xx E£
1泊2日の砂漠ツアー。
人数が多いほど安くなるようだった。
滞在日数を決めているわけではない。
そのうち誰かに声をかけて、集まればいいな。
そう思っていた。
![](https://i2.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1098.jpg?w=1118&ssl=1)
ぼったくられた気がしたのだが、どう考えても主は得をしている…
突然の来客、忘れていた呼び名
「ケイさん、お久しぶりです!覚えてますか?」
ScuBarをオープンしたその年の夏、懐かしい顔が訪ねてきました。
2011年エジプトで出会い、皆から少し年が離れていたため息子と可愛いがられていた彼。
そんな彼も、今やもう30歳。
男性では珍しく、家庭科の教師をしているそうです。
そして、彼が呼んだ主の名前。
今でも忘れない17歳の夏。
ふとした会話の中から、母親より放たれた言葉。
「あんた、ハタチになったら改名せーへん?」
「あんたの名前、好きじゃないねん。」
それ、息子に言うか?って話なんですけどね。
主の名前、外国人には覚えにくい上、発音しにくいようなんです。
また母親も出産当時、シンプルな発音の名前を名付けたかったらしく。
まあ一歩間違えれば、某有名俳優と漢字違いの同姓同名だったのですが…
そういった経緯でこの当時、命名の候補の一つであった『ケイ』と名乗っておりました。
ScuBarをオープンするにあたり、ビジネスネームとして使おうかとも思っいましたが…
ややこしくなりそうでやめました。
なので、当時の友人は今でも主のことを『ケイ』と呼びます。
決して近隣国の人間が好んで使う、イングリッシュネームではないんです。
![](https://i0.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/IMG_0713.jpg?resize=439%2C585&ssl=1)
『ケイ』は英語圏では女性の名前らしく、「男が来た…」と言われた
「もう一人探してるんですけど、行きたい人いませんかー?」
旅をしている人間は、捻くれたヤツも多い。
仲良くなろうと声をかけても、無愛想な返事が返ってくる。
もちろんそれは、警戒心からくるのだが。
しかしその彼は、某キャラクターの「野球しようぜ!」くらいのノリで話しかけてきた。
主のエジプト滞在の命運を決め、2020年の今にも繋がる一つの分岐点。
1泊2日を共にした、彼を含む6人。
この出会いからエジプトの旅が始まった。
どこに行くのかも、いつ着くのかも知らず揺られる
カイロのバスターミナルから出発し、数時間。
そして到着したところでランドクルーザーの後部、というか荷台に7人押し込まれた。
2020年現在、本当に便利になったものだ。
地図アプリで確認をすると、その場所は首都カイロから南西に370kmにある。
– Bahariya Oasis –
オーストラリアの砂漠地帯とは全く違う、ここは辺り一面砂の世界。
![](https://i1.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1115.jpg?w=1118&ssl=1)
皆が足だけつけてみる中、彼は喜んで飛び込んだ。
熱射の砂漠を彷徨っていたのならば、この湧き出る水は神の恵みに思えたに違いない。
だが実際は、元々鉄分が多いのか、配管が原因なのかはわからないが非常に鉄臭い。
そして太陽から届く熱により、生温い。
![](https://i0.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1120.jpg?w=1118&ssl=1)
その名の通り、クリスタルが取れる。
名のとおり、白砂が輝くWhite Desert。
反対に、黒石が広がるBlack Desert。
そしてその境にある、Crystal Mountain。
岩を砕くと、そのものがクリスタルであった。
プラスティック製のオモチャのような軽さ。
だがときに塊のまま、ときに砕き磨いて、古代より現代まで装飾品に使われている。
![](https://i0.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1140.jpg?w=1118&ssl=1)
だが道中はもちろん夕食や寝床の設営など、手際よくもてなしてくれた。
![](https://i1.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1138.jpg?resize=433%2C577&ssl=1)
決して悪いものではなかった。
![](https://i0.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1148.jpg?resize=436%2C581&ssl=1)
あっという間だったが、素晴らしいツアーとなった。
彼が繋げた、8年後の出会い
昨年秋にも、その彼はScuBarに来店。
そしてあの時と同じように、また主を誘ってくれました。
「ケイさん、明日暇ですか?イベントあるんで、是非きてください!」
帰国後に彼がバイトをしていたレストラン。
料理の勉強のために世界を周ったという、そこのオーナーシェフだった方の主催でした。
翌日、数年振りに行く神戸・三宮でのイベント。
シェフと挨拶をさせていただいたのですが、主の顔をみるなり一言。
「エジプト人…じゃないですよね…?」
「エジプトでお世話になった人が来てくれることになりました!」とだけ伝えていた彼。
人間、何年経っても変わらないものですね。
そしてもう一人の変わらない人。
「今でも改名してほしいと思ってんのか?」という主の問いに対して、
「もちろん」と答えた18年後の母親。
エジプト編、まだ続きます。
次回は『恋する』ダハブ、そしてThistlegorm Wreck。
久々にダイビング話も出てくる予定です。
![](https://i0.wp.com/scubar-osaka.com/wp-content/uploads/DSCF1132.jpg?resize=440%2C586&ssl=1)
即スタック、横転したであろう。