1泊2日の旅程からカイロに戻ったその夜。

新婚旅行で世界一周をしているという夫婦、その二人が南米で出会った友人が到着する、
そしてこの日が彼の誕生日であるということで、5階の日本人宿にお邪魔をしていた。


この彼がまた大きな個性を持ち、そして多くのネタを持っていた。
そして2年後の2013年、主のマニラ暴走事件で大迷惑を掛けてしまった相手でもある。


現在にも続く出会いが連鎖するエジプト。
なんやかんやで第3回。

楽しんでいただければと思います。




ちなみに、彼の誕生日は翌週でした。


ルクソール市内はナイル川で東西にわかれている。
渡し舟に乗船し、王家の谷へ。

4人が手に入れたチケットは3枚

日本ではあまり無いのだが、海外では現地人と旅行者の価格が分かれているがよくある。


7人いた砂漠ツアー参加者のうち、JICAでセネガル赴任中に出会い結ばれた夫婦がみんなの息子を引き取りアブシンベルへ南下、1人は仕事のため日本へ帰国。

主と新婚夫婦、合流した忍者の4人は、『王家の谷』があるルクソールへ向かうことに。


…そう、誕生日を間違えられたその彼は、忍者であった。



深夜列車のチケットを購入するために、駅で並…んでいるわけではない4人。
というのも、現地人価格のチケットを買ってきてくれそうなエジプシャンを探していた。


捕まえたエジプシャンに頼むと、手に握られていたのは3枚のチケット。
どうやら満席で、3枚しか買えなかったらしい。

ただその彼が言うには、「列車内で車掌に料金を払ったら大丈夫だ」とのこと。
「そうなんやー、ありがとう」と納得する3人。


主はこの4人の中で最年少だった。



その夜、腹ごしらえに買ったファラフェルサンドを頬張りながら、
日が変わる時分にプラットホームに入って来た列車に乗り込んだ。

主の席は、2名掛けクロスシートに座る新婚夫婦の足下。
ものすごく優しいこの夫婦は、主のためにヨガマットを2枚も重ねてひいてくれた。


キックアウト最有力候補は、もちろん主である。


翌朝にルクソール到着。
結局、一番快適な場所は足下だった。

4年ぶり2回目、自転車が主に乗る

ルクソールといえば王家の谷。
ただ全域撮影禁止だったため、ここで写真を上げることはできない。


そしてもう一つ、ルクソール神殿。
時間が遅く、中に入ることができなかった。


…王家の谷からの帰り、レンタルの自転車がまさかのパンク。
それも、4台借りた内2台が。


入ることはできたが、ゆっくりする時間はなかった。
花より団子な4人である。



結局、ルクソールに1泊後、大陸側のリゾート地ハルガダへ移動。
到着した夜、宿のオーナーから『ダイビングやらんか?』とのお誘いを受けた。

新婚夫婦と主はダイビングの認定を持っていたため、せっかくならと話を進める。
これまで基本1人でヨーロッパから南下してきたが、久々の団体旅行を楽しんでいた。

…のだが。

各々がゆったりする時間の中…

「ちょっと俺、今から先にダハブ向かうわ」


夕食も終わり、大量の蚊をバチバチやっつけながら話をしていたときだった。

「友人がケガして、かれこれ1週間動けないらしい。行って手助けをしてあげたい」

そう、この忍者。
本業が整体師だった。


そして友人、ケガをしたこの人物こそ、今回の話を始めるきっかけとなる来店者。

2020年2月末、ムバラク元大統領の死去を知ったその夜、ScuBarに来た彼だった。


次回改めて書くが、ダハブからはシナイ山の日の出を見に行くツアーがある。
0時を回った深夜から登り始め、足下の悪い中、真っ暗な登山道を進んでいく。

その道中で足を踏み外し、痛めてしまったらしい。

本人のためにも言っておくが、ケガをした彼の趣味は登山。
決して初心者ではない、それでもケガをしてしまう可能性が充分ある道であった。


現地で捻挫と診断され、通院していたのだが一向に良くならない。
そんなメールを受け取った忍者は、いてもたってもいられなくなったそうだ。


かくして、友人思いなのか職業病なのかその忍者は、到着したばかりのハルガダに1泊もせず、その夜のバスでダハブに向かった。


この宿の夕食は美味かった。
この日はタジン、ボケているのは許してもらいたい。

同行するも別行動も自由、それが旅じゃない?

「1人で旅して寂しくないの?怖くないの?」とちょいちょい聞かれます。


楽しみや感動を共有できる、そして何より友人がいたら初めての場所でも安心できる。
その反面、グループでの行動が多くなり、他の人間との関わりが少なくなってしまう。

まして、旅は長い時間を共にするものです。
普段は見えない部分が見えてしまい、ケンカ別れしたという話もよく聞きます。
共にする相手が彼氏や彼女、旦那や嫁さんであれば、なおさら。


1人であれば、気が乗れば一緒に行動すればいいし、そうでなければしなくてよい。
すでにあるグループに自分から入るのはなかなか難しいが、逆に1人でいれば声をかけ易いしかけてもらい易い。


そういった思いから、旅に出るときは基本1人でした。

ですので、このエジプトで出会った2組の夫婦というのはすごく意外だったんです。
二人で旅ができた理由は「お互いに、それぞれ元から旅をしていた」というのも大きかったのかもしれません。



ですが、今回のエジプト編に出てきた人物、皆に共通すること。

『目的が一緒だから行動を共にする、そうでなければ別でも問題ない』

そう、旅中は常に一緒である必要が無いんです。
たとえ夫婦であっても、友人であっても。


行きたいところも、したいことも、食べたいものもみんなバラバラ。
気に入らない、他にしたいことがあるならしなくて良い。
どうせ泊まる宿が一緒なら、寝る前には合流できますしね。


ただ、グループで行動するメリットといえば。

『自分の知らなかった場所や物に出会える可能性が増える』
『宿の部屋をシェアすることができ、安くあがる』

そして

『一回の食事で数種類注文することができ、より多くのものを楽しめる!』かなと。


結局、何人で行こうが誰と行動しようが、したい様にしたらいいんだと思っています。
もしそれで文句を言われるなら、その人と縁がなかっただけで。


主にとっては、1人で行くというのが都合が良かっただけなんです。
というより、現地では決して1人ではなかったんですよね。

やっぱり縁というのはあるもので

オアシスにダイブした、落研出身のダイブさん。
替えのパンツがなく、湿ったままの1泊2日となった。



今回のこの記事、数日に渡って少しずつ書いていました。

そしてこの最後を書いている今日、本当に偶然、主を誘った彼が店に来てくれたんです。

しかも前回話をしていた、世界を旅したシェフを連れて。



「旅の途中で出会った人は、みんな店に来てくれた」とそのシェフは話していました。

もちろん、日本に帰ってくるとそれぞれの生活が始まります。
それまでのように簡単には会いにいくのは難しくなってしまう。

そんな中で、『会いに来てもらえる、集まってもられる場所を作れてよかったんやな』。
改めてそう感じた今日でした。


来る時は事前に、連絡の1本くらい欲しいものですがね。




…ダハブ、『再会』まで辿りつけませんでした…


次回こそ、ダハブ編 – 忍者、ダイビングをする

です。


今日もコシャる?