「お金貯めてワーキングホリデーに行こうと思っている」という話を聞くと、色々と眠り始めていた記憶が出てくるもんで。


9年前、主もオーストラリアに滞在しておりました。
最初の目的はただ一つ。

「ダーウィンの海を目指したい。」

日程だけなら、観光ビザで入国すれば充分だったんですが。
なんとなく「30歳までやし、1回くらい使ってみようかなー。ビザラベルも欲しいしなー。」と思い、ワーキングホリデービザでの入国となりました。

結果、これが約1年と5日というがっつりワーホリになったのですが…

「熱風大陸 ダーウィンの海を目指して」

主が初めての海外から帰ってきた少し後、ある小説を渡された。
内容は、オーストラリアのど真ん中を南北に縦断するスチュアートハイウェイを車で走るといったもの。

やっぱり単純だったらしい18歳の主は、「俺これ行く。」と即断。

…したのだが多くの誘惑に負け、9年後にやっと太平洋を南に飛ぶことになる。
もちろん、すぐに車を買うことも旅を始めることもせず、現地でも誘惑に負けた主。


ダーウィンの海は遠く。

家訓・目の前にあるものに飛びついて行け?

ちなみにオーストラリアは、数少ない「首都に行ったことのない国」なんです。
ただただ、『その街が道中になかっただけ』なんですけどね。


シドニーのバックパッカーに宿をとり数日。
宿代もバカにならないので住む家を探そうと、日本人エージェントのオフィスに。

今ではネットですぐに探すことができるとは思いますが、2010年でもまだまだ。
それに室内でカタカタやるより、散歩して涼みがてら行くほうが楽しいですもんね。


案の定エージェントに語学学校を勧められた主、そして案の定行くことにした主。

「人が多いほうが車の旅安くつくやん?そんな奴探そ。」
「この学校南米の奴多いん?そのうち行こう思うてるから、友達作っとこ。」

それだけの理由で、最低でも6週間シドニーに滞在決定。


ダーウィンの海はまだ遠く。

ExcursionとExprosionの違い

いや、意外と楽しかったんですよ?このシドニーの滞在も。

ダウンタウンから電車で25分、駅から歩いて15分の住宅街にある一軒家。
日当たりの悪く、なぜかベッドシーツがピンク色。
そして部屋の隅にある扉の閉じられた暖炉。
深夜就寝中に、中から物音が聞こえたときは流石にびっくりしたが…

そんな部屋を拠点に学生生活。


湾に面した小高い丘の芝生で昼飯の弁当を食べたり。
元野球部なのに、学校のサッカーチームに入れられたり。
BBQでソーセージを持って歩いてたら、カモメに奪われたり。

数人でワイナリーのある街まで行って、ワインを知っている風で飲んでみたり。
服のまま海に飛び込み、帰りにバスで乗車拒否されそうになったり。
大家に頼まれ、何度収集車がきても減らないほど庭の芝を刈ったり。


英語の勉強?もちろんしてましたよ。

「バーに入りたければ、IDを見せろ!」と言われて理解できるくらいには。


ダーウィンの海は…どこへ行った…?

レディーガガをシドニーの宿で知った主。
そして自作のスタッフパスで会場に入ろうとした奴ら。
もちろんキックアウトされて帰ってきたが…

面白い仕事をしたかった。後悔はない。

結果、2ヶ月みっちりと英語の基礎の基礎の基礎を叩き込んだ主。
しかし車での旅はもちろん、その後も旅を続けるつもりだったのが、思いのほかお金を使ってしまった。

ということで、仕事を探す旅に。

もちろんシドニーの方が仕事は多かったかもしれない。
だが都会で働くと、ただ生活をするだけになってしまう様な気がして。

…というか、簡単に職につける飲食店でだけは絶対に働きたくなかった。
飲食店で働くことがダメやないんですよ?主がその仕事を嫌いやっただけで。

今やってますけどね…


「農作業の仕事面白いって誰か言うてたな。」
「その仕事で3ヶ月働いたら、2年目のビザが取得できるって?」
「んな探しに行こ!シドニーもこれから冬やし、暑い北やな!」

ということで地図を見て北にあった街、ケアンズに。

ダーウィンの海には近づいた。
が、なんか違うような…

「仕事欲しい?今ほとんどシーズンオフやで。」

思いつきで行動すれば、うまく行くこともあればダメなときも。

ケアンズの近くではバナナ農園の仕事が有名だが、5月〜8月は収穫量も減る。
もちろんそんなことも調べずに行く主。
そしてそんな時期に仕事などあるわけもなく。

同じような考えの奴らがバックパッカーやホステルには多く、
「今日も仕事見つからなかったわ。お前のほうは?」
「無いなー。明日は違うところ当たってみようと思ってる」
といった会話が飛び交っていた。

更には、「あの街なら仕事あるらしいぞ」やら、
「あそこに行ったら絶対仕事あるって聞いたから、俺は明日行く」など、
根拠も何もない情報まで。


ネット情報がまだ薄かったからこその会話かもしれない。

今はネットを使えば時間もお金も節約でき、もっと効率的に動ける。
ただそれをすると、こういったコミュニケーションは少なくなってしまうのかな?

どちらがいいとは言えない。
でも今行くとしたら…やっぱりネットで調べるかな。

余裕はまだまだあったはずなのに、精神的に追い詰められていった主。


ケアンズに見切りをつけ、地図を眺める。
北にある近い街は…ダーウィンやな。


え?ダーウィン?

過ちは繰り返すんです。

1年後、ロンドンでも同じことをやってしまった主。


シドニーからケアンズ、そしてケアンズからダーウィンももちろん空路。
ダーウィンに降り立ったときの感想は、「やってもうた、来てもうた。」


ダーウィンの海を目指す夢を見つけた18歳の主。
27歳を前に現実にしようとした主。

そのゴールに歩いて数分で行くことができる場所まで来ている。

「…行ってみるか?…いや、違う。スチュアートハイウェイを車で爆走して、目指してこそのダーウィンの海なはずや。」


仕事があるかもとの情報で、その南のキャサリンという田舎町に数日後移動。
このときは本当にダーウィンの海は見なかった。


ダーウィンの海は近くて遠い。

改めて遠いダーウィンの海…

本当は車での旅のことを書きたかったのですが。
あれもこれもと書き出したら、全くたどり着けませんでした…


よく「海外行くならお金をいくら準備したら行ったらいい?」と聞かれるんです。
それはもちろん多いに越したことはないと思います。
あればあるだけ余裕ができますもんね。

でも、
「その額を貯めるのに時間を費やしてしまうなら、持っているお金で行ってしまえ!」
「お金無くなってどうしようもなくなったら、帰ってきたらええやん!」
って主は思ってます。

どこぞの誰かみたいに、他のことに誘惑されてたら…なんてもったいないですやん。


ダーウィンの海を目指し、その道を自らどんどん伸ばしていった主。
次回もお付き合いください。