世界中には数千の言語があるそうで、各地で違った言葉に触れることができます。
その中で、ふとした言葉が違う意味として耳に入り、笑えたり勘違いしたり。

有名なところだと、西欧圏で使われる『Cincin』という乾杯の言葉や、
日本語の『苦い』や『あ、そう』の様な言葉。

地名では、一年を通して暑い土地なのにサムイ島、逆のアッツ島など。


オーストラリア人達の会話の中で、「日本語で犬の泣き声はなんて言うか知ってるか?」と酒のつまみの話になっていたり。



ですがただ一度、「この言葉を必ず最初に言いなさい」と教えらたことがあります。


『Est ce que vous parlez anglais?』

英語で話しかけると返ってくる言葉

2005年12月
カナダ・トロントのホステルで偶然な出会いをした日本人留学生と共に、モントリオールに降り立った。

まだまだネット環境が発達していなかった当時。
いつも通りにまずは宿の確保と、ホステルのフライヤーを片手に道行く人に声をかける。

そこで立ち止まってくれたのが、年配の女性だった。


まだまだ英語なんて話すことができなかった主に変わり、その友人が話しかけると、


「@&^# %$? #@&^@#$ #&@^&**&^#@」


…フランス語や…


英語で聞き返すと、


「%^#*@ ^$# ($#@* *&#@*$&#」


どうやらちゃんと教えてくれているらしい。


その優しい顔の女性の身振り手振りを信じ行ってみると、無事目的地に到着。
この時は「フランス語が公用語らしいもんな」くらいにしか思っていなかったのだが…

謎が解けた6年後の出会い

時は流れ、それから6年後の2011年。
場所はフランス・パリ。

奇しくもカナダの時と同様に、ホステルで同部屋になったアメリカ人の誘いに乗りルーブル美術館へ行こうということに。

そのときにアメリカ人が話してくれたことがこれ。


「あんな、お前に一つ注意があんねん。」
「フランス人って、英語しゃべる俺らアメリカ人のこと嫌いやねん。」
「せやから何か聞きたい事あるときは、必ずこれを言うてから英語で質問すんねんで。」


『Est ce que vous parlez anglais?』


「意味は?」と聞くと、「May I speak English?/英語で話してもいいですか?」。


「!」


そこでモントリオールでの経験に繋がる。
よく考えなくても、あの女性は確実に友人の英語を理解して答えていた。

もう一つの呪文

『フランス人がアメリカ人の事が嫌い』というのは個人の考えではあるが、
そのアメリカ人はルーブルの受付や案内のスタッフ、立ち寄ったレストランでも、まずはそのフランス語から話しかけていました。


確かに歴史的に見ると、お互いの国からの目線や感情はあります。
主も何度かそういった場面に出会いました。

ですが、そこまで意識しないといけないのか?と考えるのは、日本人だからなのかなと。
良くも悪くも、そういったことを感じることができるのも、旅の楽しみ。



もう一つ、そんな彼が美術館で小声で言った言葉が忘れられません。


「見てみ?説明文って全部フランス語だけやろ?」
「俺らにわかる様に書いてるのってこれしかないねん。」


『Don’t touch』


「もうちょっと優しくしてくれても良くない?」